物販を始めた人のうち、続いている人はそう多くありません。
ただ、やめていった人を見ていると、あることに気づきます。詰まる場所が、驚くほど同じなのです。
商品が悪かった、運が悪かった、時期が悪かった。そう語られることが多いのですが、実際にはもっと手前で決まっていることがほとんど。
この記事では、よくある詰まり方を6つ挙げます。そして、それぞれ詰まる前に出るサインも書いておきます。
先に読んでおけば避けられるものばかりです。
- やめていった人に共通する6つの詰まり方
- 詰まる前に出るサイン
- やり直せる失敗と、取り返しがつかない失敗の違い
- すでに詰まっている場合に、どこから手をつけるか
失敗の多くは「始める前」に決まっている

まず全体の話を。
物販でうまくいかなかった理由を聞くと、たいてい「売れなかったから」という答えが返ってきます。ところが、詳しく聞いていくと、売れなかったこと自体は問題の本体ではないことが分かります。
売れないこと自体は、誰にでも起こるもの。問題は、売れなかったときに立て直せる状態だったかどうかです。
手元に資金が残っていれば、次の商品を試せます。数字を記録していれば、何が悪かったのか分かります。逆に、そのどちらも無い状態で1発目を外すと、そこで終わってしまう。
つまり多くの失敗は、始める前の準備で半分決まっているのです。
詰まり方1:利益を計算せずに仕入れた

いちばん多い型。
「この商品、仕入れ1,000円で3,000円で売れてる。差額2,000円だから儲かる」——こう考えて仕入れる。ところが実際に売れてみると、手元に残るのは数百円だった。
差額から引かれるものを、計算に入れていなかったわけです。
| 入れ忘れやすいもの | どのくらい効くか |
|---|---|
| 販売手数料 | カテゴリによって変わる。無視できない大きさ |
| 配送代行の手数料 | 大きい商品ほど跳ね上がる |
| 倉庫に送るときの送料 | 1個あたりに割ると意外と重い |
| 梱包材・ラベル | 小さいが積み上がる |
| 返品されたときの損失 | 忘れられがち |
サイン:「だいたい◯%」で話している
手数料を「だいたい15%くらい」で見積もっているなら、危険信号。
販売先には料金のシミュレーターが用意されています。自分の商品を入れれば、実際の金額が出ます。推測でやる理由がありません。

詰まり方2:売れる確認をせずに、まとめて買った

ロットで安くなるから、と最初から大量に仕入れてしまうパターン。
1個あたりの仕入れ値は確かに下がります。ただし売れる保証はどこにもありません。売れなければ、安く買った在庫が大量に残るだけ。
しかも、資金の大部分をそこに入れているので、次の手が打てなくなります。
サイン:「売れたら追加で仕入れよう」と考えていない
正しい順番はこうです。
- 少ない数で試す
- 実際に売れるか、どのくらいの速さで売れるかを見る
- 売れることが分かってから、数を増やす
面倒に見えますが、この2の段階を飛ばした人が、あとで在庫を抱えています。
もちろん、少数だと仕入れ値は高くなる。それでも「確認するための費用」だと考えれば安いものでしょう。
詰まり方3:売れないとき、値下げで解決しようとした

売れない。焦る。とりあえず下げる。少し売れる。また止まる。また下げる。
気づいたときには、売っても数十円しか残らない状態になっています。
値下げは「次の手」も潰す
ここが見落とされがちなところ。
利益が薄くなると、広告が打てなくなります。広告費は利益の中から出すものなので、残りが少なければ出しようがない。
つまり値下げは、目の前の在庫をさばく代わりに、人を集めるという手段を自分から手放していることになります。
サイン:下げる前に理由を調べていない
売れない理由は、価格とは限りません。
- そもそも誰にも見られていない(=価格を下げても変わらない)
- 見られているが、画像で選ばれていない
- ページを開いたが、不安が消えず買われていない
このうち1番目なら、値下げしてもほとんど効きません。誰も見ていないページの値札を書き換えているだけですから。
まず、どの段階で止まっているのかを確かめてください。
詰まり方4:在庫を数えていなかった

地味ですが、これで苦しくなる人は多いです。
売上は見ている。銀行口座も見ている。でも、在庫がいくらぶん残っているかは知らない。
この状態だと、自分が儲かっているのかどうかが分かりません。売上が立っていても、それ以上に在庫が積み上がっていれば、実質は目減りしています。
確定申告で必ず必要になる
もうひとつ。年末時点の在庫額は、申告のときに必ず出すことになります。
普段から記録していないと、そこで数日つぶれる。しかも、売れ残った在庫の仕入れ代はその年の経費にならないので、「使ったつもりのお金が経費になっていない」という事態も起きます。
サイン:何がいくつ残っているか、すぐ言えない
今この瞬間に「在庫はいくらぶんですか」と聞かれて答えられないなら、記録を始めどきです。
難しいことは要りません。仕入れた日・商品・個数・単価。この4つだけで足ります。

詰まり方5:稼いだお金を使ってしまった

最初の数か月で利益が出ると、うれしくなります。そこで使ってしまう。
ところが物販は、売れれば売れるほど次の仕入れ資金が要る商売です。利益を抜いてしまうと、成長がそこで止まります。
口座を分けていないと、まず起こる
生活費と事業のお金が同じ口座だと、これは避けられません。
残高が増えているように見えても、その大部分は次の仕入れに必要なお金です。使えるお金だと勘違いして生活に回すと、次の仕入れができなくなります。
逆に、ずっと全部つぎ込み続けるのも危ない。売れ行きが落ちたとき、手元に何も残っていないことになります。ある程度たまったら、一部は動かさずに置いておくこと。
サイン:事業用の口座を分けていない
これは今日からできて、費用もかかりません。物販でいちばん費用対効果が高い作業かもしれないと思っています。
詰まり方6:ひとりで抱えて、静かにやめた

最後は、数字ではない話。
物販は基本的にひとりでやる作業です。相談する相手がいない。うまくいかないとき、それが普通のことなのか、自分だけがおかしいのかも分かりません。
実際には、立ち上がりに時間がかかるのは当たり前です。ところがそれを知らないと、「向いていなかった」と結論を出してやめてしまう。
サイン:「普通はどうなのか」を知らない
自分の数字が良いのか悪いのか、比べる相手がいない状態は危ういものです。
比べるといっても、他人の月収を見るという意味ではありません。「この段階では、こういう数字になるのが普通」という基準を持っているかどうかということ。
基準がなければ、少し悪い数字を見ただけで折れてしまいます。
やり直せる失敗と、取り返しがつかない失敗

ここは分けて考えておいたほうがいいところ。
| やり直せるもの | 取り返しがつきにくいもの |
|---|---|
| 売れない商品を仕入れてしまった | アカウントが停止された |
| 値下げして利益を削った | 大きな借金を背負った |
| 在庫が残った | 本業や家庭に影響が出た |
| 広告費を無駄にした | 健康を損ねた |
左側は、お金と時間で解決できます。在庫は値下げすれば現金に戻せますし、失った利益は次で取り返せる。
問題は右側。とくにアカウントの停止は深刻です。
アカウントだけは守る
停止されると、売上が止まるだけでは済みません。倉庫に預けた在庫も動かせなくなります。お金が商品の形で凍結されるわけです。
そして規約違反によるものだと、復旧できないこともある。
- レビューを金銭や割引と引き換えに集める
- 自分で購入して売れた実績を作る
- 複数のアカウントを使い分ける
- 権利者の許可が要る商品を、確認せずに扱う
目先の数個の売上と引き換えにするには、代償が大きすぎます。ここだけは、どんなに焦っても触らないでください。
すでに詰まっている場合、どこから手をつけるか

今まさに苦しい、という方向けに順番を書いておきます。
- 仕入れを止める(傷を広げない。まずここ)
- 在庫を全部数える(いくら残っているかを把握する)
- 動いていない在庫を現金に戻す(下げてでも。眠っているお金を起こす)
- 売れている商品だけを残す(何が売れているのかを見る)
- その商品の粗利を出す(そこから再スタート)
3番目に抵抗を感じる方が多いところです。損を確定させるのは、気持ちの面でつらいものですから。
ただ、売れない在庫は持っていても価値が下がっていくだけです。しかも保管に費用がかかる場合もある。現金に戻して次に使ったほうが、結果的に傷は浅く済みます。
よくある質問

何か月やってダメなら、やめどきですか
期間よりも、何を確かめたかで判断してください。
人を連れてくることを一度も試していないなら、まだ市場の反応を見ていないのと同じ。一方、人は来ているのに買われないなら、それは答えが出ています。
在庫が残っています。どうすれば
いくらで仕入れたかは、いったん忘れてください。今いくらなら売れるかだけで判断します。
仕入れ値にこだわって売らずにいると、時間が経つほど売れにくくなり、保管の費用もかかり続けます。
同じ失敗を繰り返してしまいます
記録が残っていないことが原因かもしれません。
何をいくらで仕入れて、いくらで売れて、何日かかったか。これが残っていれば、次に同じ判断をする前に立ち止まれます。記憶だけに頼ると、同じところを回ります。
やめた人と続いた人の差は何ですか
センスや才能ではないと思っています。
続いている人に共通しているのは、1発目を外しても2発目が撃てる状態を作っていたこと。資金を全部つぎ込んでいない、記録が残っている、規約違反に手を出していない。この3つです。

まとめ

- 失敗の多くは「売れなかったこと」ではなく「立て直せない状態だったこと」
- 手数料を「だいたい◯%」で見積もらない。シミュレーターで実額を出す
- まとめ買いの前に、少数で売れることを確かめる
- 値下げは広告という次の手も潰す。下げる前に、どの段階で止まっているか調べる
- 在庫を数える。仕入れた日・商品・個数・単価の4つだけでいい
- 🔴事業用の口座を分ける。今日できて、費用もかからない
- 🔴アカウント停止だけは取り返しがつかない。規約違反には絶対に手を出さない
- 詰まったら、仕入れを止める → 在庫を数える → 現金に戻すの順
ここに挙げた6つは、どれも特別なものではありません。むしろ地味で、当たり前に見えることばかりだと思います。
それでも、やめていった人の多くはここで詰まっています。逆に言えば、この6つを避けるだけで、残れる可能性はかなり上がるということ。
今どれかに当てはまっているなら、それは失敗ではなくサインです。気づいた時点で直せます。
つまずく前に、教わる相手を間違えないための見分け方もまとめています。


