「物販って、実際いくら稼げるんですか」
いちばん知りたいところだと思います。ただ、調べても出てくるのは「月収100万円」「月商1,000万円」といった、大きくて実感のわかない数字ばかりです。
まず、ここを整理させてください。
月商1,000万円 ≠ 月収1,000万円
月商は「売れた金額」です。そこから仕入れ代・手数料・送料が引かれます。手元に残るのは、その一部です。
そして、もうひとつ大事なことがあります。手法によって、利益の出方がまったく違います。
同じ「月に10万円」でも、それが1個300円の利益を333個積み上げた結果なのか、1個5,000円の利益を20個で作ったのかで、必要な作業も資金もまるで別物です。
この記事では、金額そのものより、どういう構造でその金額になるのかを書きます。そこが分かると、自分の場合はどうなるかが見えてきます。
- 売上と利益がどれくらい違うのか
- 手法ごとの利益の出方(単価×数×手間)
- 目標の金額から逆算する方法
- 時給に直すといくらになるか
- 収入が伸びなくなる場所
※ この記事の数字はすべて説明のための例です。実際の金額は、扱う商品・時期・競合の状況で大きく変わります。
売上から、何がどれだけ引かれるのか

まず、1個売れたときのお金の流れを見てください。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 売れた金額 | 3,000円 | これが「売上」 |
| 仕入れ代 | −1,000円 | 商品によっていちばん変わる |
| 販売手数料・配送代行手数料 | −900円 | 販売先に払う |
| 納品の送料・梱包材 | −100円 | 1個あたりに割った額 |
| 残る金額(粗利) | 1,000円 | 売上の約33% |
この例では、3,000円売れて、残るのは1,000円です。
つまり月商300万円だとしても、同じ割合なら残るのは100万円ということになります。ここからさらに広告費や、その他の経費が引かれます。
粗利率は商品で大きく変わる
上の例は「売上の33%が残る」形でしたが、これは商品によって変わります。
- 他の人と同じ商品を売る形:値下げ競争になるので、残る割合は小さくなりがち
- 自分の商品ページを持つ形:価格を自分で決められるので、厚くしやすい
- 大きい・重い商品:配送の手数料が高くなり、残りが減る
手数料の内訳については、こちらに詳しく書いています。

手法ごとに、利益の出方が違う

ここが本題です。同じ金額を稼ぐのでも、道のりがまったく違います。
「単価 × 数」で見る
利益は、この2つの掛け算です。
A:1個300円 × 333個 → 333回の梱包・発送が発生する
B:1個5,000円 × 20個 → 20回で済むが、1個の仕入れ額が大きい
同じ10万円でも、Aは時間が要り、Bは資金が要ります。
どちらが良いという話ではありません。自分に時間があるのか、資金があるのかで、選ぶ道が変わるということです。
手法別の傾向
| 手法 | 1個の利益 | 必要な数 | いちばん要るもの |
|---|---|---|---|
| フリマでの不用品販売 | 小さい | 多い | 時間 |
| 店舗せどり | 中くらい | 多い | 時間と移動 |
| 古着 | 中くらい | 多い | 時間(1点ずつ手作業) |
| BUYMA | 大きい | 少なめ | 出品数と対応の手間 |
| 中国輸入・自社商品 | 大きい | 少なめ | 資金 |
表を見ると分かりますが、1個の利益が大きい手法ほど、資金が必要になります。まとめて仕入れる形になるからです。
逆に、資金が少ないうちは「1個の利益は小さいが、数で作る」形から入ることになります。これは順番の問題です。
目標の金額から逆算する

「いくら稼げますか」より、「いくら欲しいか」から逆に計算するほうが役に立ちます。
計算の手順
- 欲しい月の利益を決める(例:10万円)
- 1個あたりの利益を決める(例:1,000円)
- ①÷②=売る個数(例:100個)
- その個数を仕入れるのにいくら要るか(例:仕入れ1,000円×100個=10万円)
- 入金までの期間を考えると、実際に手元に必要な資金はその1.5〜2倍
5番目を飛ばす人がとても多いです。仕入れた分が売れて入金されるまでには時間がかかるので、その間も仕入れを続けるなら、その分の資金が別に要ります。
資金の回り方については、こちらにまとめています。

逆算すると現実が見える
この計算をすると、たいてい2つのどちらかになります。
- 資金が足りない → 目標を下げるか、資金を作る期間を先に置く
- 作業量が現実的でない → 1個の利益が大きい商品に変える必要がある
どちらも、始める前に分かるほうがいいことです。始めてから気づくと、時間と資金を無駄にします。
時給に直してみる

もうひとつ、やっておくと良い計算があります。
1か月の利益 ÷ 実際に使った時間
使った時間には、仕入れを探す時間、梱包する時間、発送する時間、問い合わせに答える時間、全部を入れてください。
最初は低くて当たり前
計算すると、たいてい落ち込みます。アルバイトより低いことも普通にあります。
ただし、それ自体は問題ではありません。最初は覚える時間が含まれているからです。
見るべきなのは、その時給が上がっていくかどうかです。
上がらない形もある
ここが大事なところです。
作業量と売上が完全に比例している形だと、慣れて多少速くなっても、時給はある程度で頭打ちになります。倍稼ぐには倍働くしかないからです。
逆に、同じ商品を繰り返し仕入れて売る形なら、2回目からは探す手間がありません。数を増やしても作業はあまり増えません。ここで時給が伸びます。
手法ごとの構造の違いについては、こちらで詳しく書いています。

収入が伸びなくなる場所

物販を続けていくと、たいてい同じところで止まります。
1つ目の壁:時間が足りなくなる
作業が増えて、自分の時間で回らなくなります。副業でやっている場合は、ここが早く来ます。
越え方は2つ。1個あたりの利益が大きい商品に変えるか、作業を人やツールに渡すかです。
2つ目の壁:資金が足りなくなる
売れているのに、次の仕入れができない。利益が出ていても、それが商品に変わっていて現金がない状態です。
ここは、回転を速くするか、資金を増やすかで越えます。
3つ目の壁:価格競争に飲まれる
同じ商品を扱う人が増えて、1個あたりの利益が減っていきます。
数を増やして補おうとすると、1つ目の壁に戻ります。この行き来を繰り返して疲れるのが、いちばん多いパターンです。
越えるには、比べられない形を作るしかありません。自分の商品ページを持つ、セットにする、といった方法です。
他人の「月収◯万円」の見方


最後に、数字の受け取り方について書いておきます。
売上か利益かを確かめる
「月100万円」と書いてあっても、それが売上なのか、手元に残った額なのかで意味がまったく違います。
大きく見せたい場合、売上のほうが書かれます。そこが明記されていない数字は、判断の材料になりません。
続いている期間を見る
1か月だけ良かったのか、1年続いているのか。ここも大きな違いです。
物販は、たまたま当たった商品で1か月だけ跳ねることがあります。その1か月だけを切り取れば、大きな数字が作れてしまいます。
その人の条件を見る
いくら資金があったのか。1日何時間使えたのか。手伝う人はいたのか。
条件が違えば、同じ結果にはなりません。参考にするなら、金額ではなく「やり方」のほうです。
よくある質問

副業だと、月にどのくらいが現実的ですか
使える時間と資金で決まるので、金額では言えません。
ただ、上の逆算をすれば自分の場合が出せます。週に使える時間と、手元の資金を当てはめてみてください。他人の金額より、そちらのほうが役に立ちます。
どのくらいで利益が出始めますか
商品と手法で大きく変わります。
ただし共通して言えるのは、最初の数か月は「覚える期間」だと考えたほうがいいということです。ここで結果を求めすぎると、判断を誤ります。
利益率は何%あればいいですか
手法によって違うので、一律の答えはありません。
大事なのは、広告を出す予定があるかどうかです。広告費は粗利から出るので、利益が薄いと広告が打てません。打てないと、その先が伸びません。
売上が伸びているのに、口座のお金が増えません
2つ目の壁の状態です。利益が在庫に変わっているので、正常な現象でもあります。
ただし、売れ残りが増えているだけの場合もあるので、そこは分けて見てください。動いている在庫か、止まっている在庫か。この2つは意味がまったく違います。
まとめ

- 月商 ≠ 月収。売上から仕入れ・手数料・送料が引かれる
- 利益は「1個の利益 × 数」。同じ金額でも道のりが違う
- 1個の利益が大きい手法ほど、資金が要る。少額なら数で作る形から入る
- 「いくら稼げるか」より「いくら欲しいか」から逆算する
- 🔴逆算では入金までの期間を必ず入れる。必要な資金は仕入れ額の1.5〜2倍
- 時給に直してみる。低いことより、上がる形かどうかが問題
- 止まる場所は3つ。時間・資金・価格競争
他人の「月収◯万円」を見て一喜一憂しても、自分の答えは出ません。条件が違いすぎるからです。
それより、自分の時間と資金を当てはめて逆算してみてください。数分でできて、しかも自分にとっては他人の数字よりずっと正確です。

