
売上は月100万円を超えたのに、通帳を見たら思ったよりお金が残っていない…。FBAって本当に儲かるんですか?



その感覚、正しいです。FBAは「勝手に利益が増える仕組み」ではなく、売上からいくつもの費用が自動で引かれていく仕組みですからね。今日は電卓で全部分解してみましょう。
「Amazon FBA 儲からない」で検索する人は、だいたい2種類に分かれます。
ひとつは、もうFBAを使っていて、売上は立っているのに手元にお金が残らない人。
もうひとつは、これから使おうか迷っていて「手数料が高いらしい」という噂だけを聞いて足が止まっている人。
この話題がやっかいなのは、正直に書ける立場の人が少ないことです。
ツールを売っている会社も、コンサルを売っている会社も、物流代行の会社も、それぞれ自社のサービスを売る立場があります。
だから「FBAは儲かりません」とは書きにくい。書いても「うちのサービスを使えば解決します」で終わってしまう。
この記事では、営業トークを抜きにして、FBAで引かれる費用を1つずつ並べ、架空のモデル商品で電卓を叩きます。
結論から言うと、FBAそのものが悪いのではありません。
FBAの費用構造に合っていない商品を売っていると、構造的に利益が残らない——それだけの話です。
そして、その見分け方はちゃんと数字で説明できます。
- 「FBAは儲からない」と言われる理由のうち、当たっている部分と外れている部分
- 売上から引かれていく費用の全リスト(Amazonに払うもの/それ以外)
- 架空のモデル商品で「3,000円売って、いくら残るのか」を電卓で分解した結果
- 利益を静かに削る在庫保管手数料と、長期在庫が怖い本当の理由
- FBAを使うべき商品/自己発送のほうがいい商品の分かれ目
- FBAで利益を残している人が、共通してやっていること
なお、この記事に出てくる金額はすべて説明のために作った架空のモデル計算です。
実際の料率や手数料は、商品のカテゴリー・サイズ・重量・時期によって変わりますし、Amazonの料金体系は改定されます。
仕入れ判断をする前に、必ずご自身でセラーセントラルの最新の料金表と、商品ごとの手数料シミュレーターで確認してください。
「Amazon FBAは儲からない」と言われる理由は、半分当たっている


最初に立場をはっきりさせておきます。私の答えは「半分当たっていて、半分は誤解」です。
当たっている部分から。FBAは、売上に対して引かれる費用の割合が想像より大きいです。しかも引かれ方が分散しているので、体感しにくい。
販売手数料は売れた瞬間に引かれ、配送代行手数料も売れた瞬間に引かれ、在庫保管手数料は月をまたいで請求され、返品が出ればさらに別枠で引かれます。
売上のレポートと、実際の入金額と、利益は、全部ずれます。
多くの人が「儲からない」と感じるのは、このずれに気づかないまま、売上ベースで仕入れを増やしてしまうからです。
売上が伸びれば伸びるほど仕入れ資金が必要になり、在庫は増え、保管料は増え、手元の現金は減っていく。
数字の上では「成長している」のに、財布は苦しくなる。この状態を私は「売上だけが太っている状態」と呼んでいます。
では、誤解のほうは何か。FBAの手数料が高すぎるから儲からない、というのは正確ではありません。
同じ手数料表のもとで、しっかり利益を出している人がいるからです。彼らが特別な割引を受けているわけではありません。
同じ料金表を見て、その料金表に合う商品だけを選んでいるだけです。
言い換えると、FBAは「どんな商品でも儲かる仕組み」ではなく、「特定の条件を満たす商品だけが儲かる仕組み」です。
条件から外れた商品を、条件を知らないまま大量に仕入れると、まじめに働いているのにお金が減っていくという、最もつらい状態になります。
もう少し具体的に言うと、「儲からない」と感じている人の相談を聞いていて、原因はだいたい次の4つのどれかに当てはまります。
①単価が低すぎて固定額の手数料に負けている、②在庫が回らず保管料と資金拘束で削られている、③値下げ競争に巻き込まれて手取りが薄くなっている、④手取りの上限を知らないまま広告費を使っている。
どれも「頑張りが足りない」話ではなく、最初の計算をしていれば防げた話です。
逆にいうと、この4つを潰すだけで状況はかなり変わります。特別なテクニックや裏技はいりません。
必要なのは、電卓と、引かれる項目の一覧と、それを仕入れの前に見る習慣だけです。
だからこの記事は、「FBAをやめましょう」でも「FBAは最高です」でもありません。
どういう商品ならFBAの費用構造に耐えられるのかを、数字で見えるようにするのが目的です。
それがわかれば、仕入れの前に電卓を叩くだけで、多くの失敗は避けられます。
FBAでかかる費用を全部並べてみる


まず、売上から何が引かれるのかを漏れなく並べます。ここを曖昧にしたまま利益計算をしている人が本当に多いです。
「販売手数料と配送代行手数料は知っているけど、それ以外は正直よくわからない」という状態だと、計算した利益と実際の入金がずれ続けます。
費用は大きく2つに分かれます。Amazonに払うものと、Amazon以外に払うものです。忘れられがちなのは後者のほうです。
| 費用の名前 | いつ引かれるか | だいたいの性質(目安) |
|---|---|---|
| 販売手数料 | 売れたとき | 販売価格に対する割合。カテゴリーによって幅が大きく、多くのカテゴリーで8〜15%程度、カテゴリーによってはこれを大きく超えます。必ず公式の料金表で自分のカテゴリーの率を確認してください |
| 配送代行手数料 | 売れたとき | 1点ごとの固定額。サイズ区分と重量で階段状に決まる |
| 在庫保管手数料 | 毎月 | 預けている在庫の体積に応じて月ごとに発生。時期によって単価が上がる期間がある |
| 長期在庫に関する追加費用 | 一定期間を超えたとき | 売れずに長く残った在庫に上乗せでかかる |
| 返品・返送・廃棄の費用 | 都度 | 返品対応、在庫の引き取り、廃棄などで発生 |
| 大口出品の月額登録料 | 毎月 | 固定費。売れても売れなくてもかかる |
| 広告費 | クリックのたび | スポンサープロダクト等。使えば使うほど増える変動費 |
| 仕入れ原価 | 仕入れたとき | 最も大きい。ここが甘いと後で取り返せない |
| 仕入れ先からの送料・納品送料 | 都度 | Amazon倉庫へ送る配送料。1点あたりに割ると意外に効く |
| 梱包資材・ラベル・検品の手間 | 都度 | 少額だが積み上がる。自分の作業時間も本来はコスト |
この表を見て「思ったより項目が多い」と感じたなら、それが正常な反応です。
FBAは便利さを買っている仕組みなので、便利な分だけ細かく課金されます。
ここで一度、性質の違いを整理しておきます。販売手数料は売価に対する割合なので、単価が上がっても負担率は変わりません。
配送代行手数料と月額登録料は固定額なので、単価が低いほど負担率が跳ね上がります。
在庫保管手数料は時間に比例するので、売れないほど増えます。この3種類の性質を頭に入れておくと、あとの計算がぐっと楽になります。
① 販売手数料:カテゴリーで決まる、一番動かせない費用
販売手数料は、商品が売れたときに販売価格に対してかかる割合の費用です。
カテゴリーごとに率が決まっていて、出品者側で下げる方法は基本的にありません。
ポイントは2つあります。ひとつは、率がカテゴリーによってはっきり違うこと。
同じ3,000円の商品でも、カテゴリーが違えば引かれる金額が変わります。
もうひとつは、この費用は「販売価格に対して」かかるので、値下げすると金額は減るが、利益はもっと減るということです。
価格競争に巻き込まれたとき、多くの人は「100円下げても手数料も下がるから大丈夫」と考えます。
でも実際は、100円値下げすると手数料は十数円しか減りません。差額の80円以上は、そのまま自分の利益から出ていきます。
値下げは、自分の利益だけを一方的に削る行為だと覚えておいてください。
なお、カテゴリーによっては「1点あたりの最低手数料」が設定されている場合があります。
低単価商品を扱うときはここが効いてくるので、実際の率と最低額は必ず公式の料金ページで確認してください。
② 配送代行手数料:サイズと重さで階段状に決まる
配送代行手数料は、ピッキング・梱包・配送・カスタマーサービスまで含めた代行費用です。
ここがFBAの利益計算で一番誤解されているところだと思います。
この費用は割合ではなく、1点あたりの固定額です。しかもサイズ区分と重量で階段状に決まります。
つまり、100円の商品でも10,000円の商品でも、同じサイズ・同じ重さなら引かれる金額は同じです。
これが何を意味するか。低単価商品ほど、配送代行手数料の重さが致命的になるということです。
仮に配送代行手数料が450円だとすると、3,000円の商品では売価の15%ですが、1,000円の商品では45%です。
同じ費用なのに、単価が3分の1になるだけで負担率は3倍になります。
「安い商品をたくさん売って回転で稼ぐ」という発想は、自己発送や店舗販売では成立することがありますが、FBAでは成立しにくいのはこのためです。
③ 在庫保管手数料:売れていない間もずっと発生する
在庫保管手数料は、Amazonの倉庫に預けている在庫の体積に応じて、毎月かかります。
1点あたりで見ると数円〜数十円程度のことも多く、「これくらいなら誤差でしょう」と流されがちです。
ただ、性質が他の費用と決定的に違います。
販売手数料も配送代行手数料も「売れたときだけ」かかりますが、保管手数料は「売れていないときにかかる」のです。
売れない商品ほど、長く払い続けることになります。
さらに、需要が高まる年末シーズンなどは保管料の単価が上がる期間が設けられていることがあります。
ちょうど「売れると思って在庫を厚くする時期」と重なるので、狙って仕入れたのに売り切れずに越年すると、最も高い時期の保管料を払い続けることになります。
④ 返品・返送・廃棄など、忘れられがちな費用
FBAは購入者にとって返品しやすい仕組みです。
それは売れやすさにつながる長所ですが、出品者側から見ると返品率がそのままコストになるということでもあります。
返品された商品は、状態によっては再販できません。再販できないものを引き取れば返送料がかかり、廃棄すれば廃棄費用がかかります。
返ってきた商品を検品して再納品するなら、その手間と送料もかかります。
返品率は商品ジャンルによって大きく違います。
サイズ選びが必要なもの、色味が写真と違って見えやすいもの、精密なものは返品が出やすい傾向があります。
利益計算をするときは、返品率を数%見込んで最初から引いておくのが安全です。ここを0で計算していると、月末に必ず見込みとずれます。
⑤ Amazon以外に払っている「見えない費用」
ここまではAmazonに払う費用でした。実際にはそれ以外にも、確実にお金が出ていっています。
まず、仕入れ先から自宅(または倉庫)までの送料。次に、Amazonの倉庫へ納品するときの配送料。
ダンボール、緩衝材、テープ、ラベル用紙、プリンターのインク。
1点あたりに割れば数十円ですが、月に300点扱えば1万円以上になります。
「1点あたり数十円だから無視していい」と考えた瞬間に、利益計算は現実からずれ始めます。
そして一番見えないのが、自分の時間です。検品して、ラベルを貼って、箱に詰めて、伝票を作る。
この作業に月20時間使っているなら、時給1,500円で計算すれば3万円のコストです。
帳簿には出てこないので存在しないことになりがちですが、実際には毎月払っています。
私は、この「見えない費用」を一度きちんと数えてみることをおすすめしています。
数えると、安い商品を大量に扱うことのコストが、はっきり見えるからです。
1,200円の商品を300個扱うのと、5,000円の商品を80個扱うのでは、売上が近くても作業量がまるで違います。
費用を並べるときのコツを、4つだけ挙げておきます。この形で書き出すと、あとの計算が驚くほど楽になります。
- 「売れたときにかかる費用」と「売れなくてもかかる費用」を分けて書く
- 1点あたりに割り戻す(月額登録料も、月の販売点数で割ると実感できる)
- 返品率と広告費を「最初から引く」前提で計算する
- 自分の作業時間も、時給を決めて仮のコストとして置いてみる
モデル計算:いくらの商品で、いくら残るのか


ここから電卓を叩きます。もう一度お伝えしますが、以下はすべて説明のために作った架空のモデル計算です。
実際の料率は商品のカテゴリー・サイズ・重量で変わり、料金体系も改定されます。
数字そのものではなく、「どの費用がどれくらいのインパクトを持つか」という構造のほうを見てください。
ケースA:3,000円の小型・軽量商品(架空)
販売価格3,000円、仕入れ値1,200円、小型で軽い商品を想定します。
販売手数料は10%、配送代行手数料は450円、と仮に置きます。
| 項目 | 金額(架空) | ひとこと |
|---|---|---|
| 販売価格 | 3,000円 | — |
| 販売手数料(仮に10%) | -300円 | カテゴリーで変わる |
| 配送代行手数料(仮) | -450円 | サイズ区分で決まる固定額 |
| 在庫保管手数料(1ヶ月分・仮) | -15円 | 売れるまで毎月かかる |
| 仕入れ原価 | -1,200円 | — |
| 納品送料・梱包資材(1点あたり) | -80円 | 忘れやすい |
| ここまでの残り | 955円 | 売価に対して約32% |
| 広告費(売上の10%と仮定) | -300円 | 広告を回す場合 |
| 返品ぶんの目減り(3%と仮定) | -90円 | ざっくり見込み |
| 大口出品の月額登録料(100点販売で割った場合) | -50円 | 販売数が少ないほど重い |
| 最終的な残り | 515円 | 売価に対して約17% |
ここで注目してほしいのは、「粗利32%」だと思っていたものが、最後まで引くと17%になるところです。1個売って515円。
月に100個売っても51,500円。ここからさらに、(課税事業者であれば)消費税や所得税、そして自分の作業時間が引かれます。
そして重要なのは、この100個を売るために12万円の仕入れ資金を先に払っていることです。
回転が月1回なら、常に12万円が在庫に化けている状態になります。売上30万円、利益5万円、在庫12万円。
この感覚が「働いているのにお金が増えない」の正体です。
ケースB:1,200円の低単価商品(架空)
次に、単価が低い商品でどうなるかを見ます。販売価格1,200円、仕入れ値500円。
サイズも重さもケースAと同じ小型・軽量なので、配送代行手数料も同じ450円になります。
ここが大事なところで、単価が下がっても引かれる固定額は1円も下がりません。
- 販売価格:1,200円
- 販売手数料(仮に10%):-120円
- 配送代行手数料(仮):-450円
- 在庫保管手数料(仮):-15円
- 仕入れ原価:-500円
- 納品送料・資材:-60円
- 残り:55円(売価に対して約5%)
55円です。ここに広告費を1円でも乗せた瞬間、あるいは返品が1件出た瞬間に、この商品は赤字になります。
ライバルに合わせて50円値下げしたらどうなるか。販売手数料も5円だけ減りますが、それでも手取りは55円が10円になります。
値下げの50円のうち、45円は自分の利益から出ていく計算です。
これが「FBAは儲からない」と言われるときの、典型的な中身です。手数料が高いというより、単価に対して固定費が重すぎる。
ケースAとケースBで違うのは商品の値段だけで、手数料表は同じです。同じ土俵で戦っているのに、片方は残り、片方は残らない。
もうひとつ、ケースBには見えにくい落とし穴があります。作業量です。
55円の利益を10万円にするには、約1,800個売らなければいけません。ケースAなら約200個です。
同じ10万円を稼ぐのに、検品も梱包も納品も、9倍近い手間がかかる。時給に直したら、ケースBは相当きつい商売です。
「薄利多売でも数をこなせば」という考え方が通用しにくいのは、Amazonの手数料が数をこなすほど安くなる仕組みではないからです。
むしろ販売点数が増えれば、配送代行手数料も、保管する体積も、比例して増えます。スケールメリットが効きにくいのがFBAの特徴です。
もし今、手元に「なぜか利益が出ない商品」があるなら、まずこの形で1点あたりに分解してみてください。
感覚ではなく、紙に書き出すと一瞬でわかります。エクセルでもメモ帳でも構いません。大事なのは、頭の中の「だいたい」をやめることです。
利益を静かに削る「在庫保管手数料」と長期在庫の怖さ


ここまでの計算では、在庫保管手数料を「15円」としてほぼ無視できる額で置きました。実際、1点あたり1ヶ月ならその程度のことも多いです。
だから多くの人がここを軽く見ます。
でも、売れなかったときの計算をしてみると景色が変わります。1点15円でも、4ヶ月売れなければ60円。
ケースBの利益55円の商品なら、それだけで利益が消えてしまいます。1年残れば180円で、完全に赤字です。
しかもそこに長期在庫に対する追加費用が乗る可能性があります。
売れ残りは「毎月お金を払って預かってもらっている荷物」
私は在庫を、毎月家賃を払っている荷物だと考えるようにしています。売れれば家賃は1ヶ月ぶんで済む。
売れなければ、家賃を払い続けながら、しかも商品の価値は下がっていく。
そして本当に怖いのは、保管料そのものではありません。資金が寝ることのほうがはるかに怖いです。
12万円ぶんの在庫が半年動かないというのは、その半年間、その12万円で別の商品を仕入れて回すチャンスをすべて失っている、ということです。
保管料は数千円でも、失った機会はもっと大きい。
数字にするとこうなります。仮に手元の運転資金が50万円だとして、回転が月1回なら年間12回まわせます。
1回転ごとに、仕入れ額に対して15%の利益が出るとすると、単純計算で年間90万円ぶんの利益機会があります。
ところが回転が3ヶ月に1回まで落ちると、年4回。同じ50万円でも30万円ぶんの機会しか作れません。
差は保管料の数千円ではなく、数十万円です。
もちろんこれも架空の計算ですが、「在庫が動かない」という状態が、保管料以上に大きなものを奪っていることは伝わると思います。
一人でやっている個人セラーにとって、運転資金は増やしにくいものです。
だからこそ、同じお金を何回まわせるかが、そのまま年間の利益を決めます。
さらに追い打ちをかけるのが、処分の局面です。長期在庫を減らそうとして値下げすると、前の章で見たとおり値下げは利益を一方的に削ります。
結果として「利益ゼロで売り切る」か「赤字で処分する」かの二択になりがちです。
長期在庫は、気づいた時点で選択肢がほとんど残っていないのがつらいところです。
- 仕入れる前に「何ヶ月で売り切る想定か」を数字で決めておく
- 初回は少なく入れて、売れ方を見てから追加する(テスト→追加の順番)
- 想定より遅い商品は、早い段階で手を打つ(放置が最も高くつく)
- 季節商品は「シーズン終了日」を先にカレンダーに書いておく
小さくて軽い商品ほどFBAで有利になる理由


ここまでの話を整理すると、FBAで利益が残る商品の条件が自然に浮かび上がってきます。
配送代行手数料はサイズと重量で決まる固定額。在庫保管手数料は体積で決まる。
つまり、商品が小さくて軽いほど、Amazonに払う固定費が小さくなる。
一方で販売手数料は価格に対する割合なので、単価が上がっても比例して増えるだけです。
この2つを組み合わせると、FBAで一番有利なのは「小さくて軽くて、そこそこ単価が高い商品」だとわかります。
逆に一番不利なのは「大きくて重くて、単価が安い商品」です。この組み合わせは、どれだけ頑張って売っても構造的に残りません。
サイズ区分が1つ違うだけで、手取りが変わる
配送代行手数料は連続的ではなく、階段状に決まります。だから、あと数ミリで区分が変わる、という境目が存在します。
ここは意外と実務で効くポイントです。同じ商品でも、納品時の梱包の仕方でサイズが変わることがあります。
厚みのある緩衝材をやめる、外箱を一回り小さいものに変える、といった工夫で区分が1つ下がれば、1点あたりの手数料が数十円〜百円単位で変わることがあります。
100個売るなら数千円〜1万円の差です。
もうひとつ、重さの境目もあります。同じサイズ区分でも、重量帯が変わると料金が上がる設計になっていることがあります。
ずっしり重い商品を安く売っていると、ここで静かに削られます。「小さい」だけでなく「軽い」もセットで見てください。
もちろん、商品が破損しては元も子もありません。安全を削ってまで詰める話ではなく、「区分の境目を知ったうえで梱包を設計する」という話です。
境目を知らないと、たまたま数ミリ超えていて損をしていることに一生気づけません。
なお、サイズ区分の定義や料金は変更されることがあります。梱包を変える前に、必ず最新の区分表を確認してください。
それでもFBAを使ったほうがいい場合/自己発送のほうがいい場合


「じゃあ全部自己発送にすればいいのでは?」と思うかもしれません。でも、それも極端です。FBAには手数料に見合う価値がちゃんとあります。
特に大きいのは売れやすさです。プライム対応になり、配送の信頼性が上がり、おすすめ出品(カートボックス)を取りやすくなる。
自己発送で同じ条件を再現しようとすると、出荷スピードと配送品質を自分で担保する必要があります。
そこに使う時間を時給換算すると、FBAのほうが安いことも多い。
もうひとつは時間です。
一人でやっている場合、梱包と発送に毎日2時間使うのと、その2時間をリサーチや広告改善に使うのとでは、半年後の結果がまるで変わります。
| 観点 | FBAが向いている | 自己発送が向いている |
|---|---|---|
| 商品サイズ | 小型・軽量 | 大型・重量物 |
| 単価 | 中〜高単価(固定費を吸収できる) | 低単価で手数料負けする商品 |
| 回転 | 速い(保管期間が短い) | 遅い・季節性が強い |
| 販売数 | 多い(自分で捌けない量) | 少ない・受注生産に近い |
| 検証段階 | 売れ方が読めている | 初めての商品を少量テストする |
| 自分の時間 | 限られている | 作業に回せる余裕がある |
| 在庫リスク | 売り切る見込みが立つ | 残る可能性が高く手元に置きたい |
この表は絶対的な基準ではありません。
ただ、「今この商品は、表のどちら側にいるか」を年に何回か見直すだけで、無駄な保管料はかなり減らせます。
売れ行きは変わりますし、季節でも変わります。1年前に決めた出荷方法をそのまま使い続けているなら、一度見直す価値があります。
実際にうまく回している人の多くは、どちらか一方に決めていません。
新商品は自己発送で少量テストして、売れ方が読めたらFBAに移す。
逆に、売れ行きが落ちてきた商品はFBAから引き上げて自己発送に戻す。
この行き来ができると、在庫リスクと保管料の両方を抑えられます。
「FBAか自己発送か」は思想の問題ではなく、その商品のその時点の状態に合わせて選ぶ運用の問題です。
ここを固定で考えている人ほど、無駄な費用を払い続けがちです。
FBAで利益を残している人がやっていること


同じ手数料表のもとで、残る人と残らない人がいる。その差は才能でも資金力でもなく、やっている手順の違いです。
ここでは、共通して見られる3つを挙げます。
① 仕入れる「前」に、1点あたりの手取りを出している
あたりまえに聞こえますが、これができていない人がかなり多いです。「相場を見て、これなら差益が出そうだ」で仕入れてしまう。
差益と手取りは違います。
残している人は、仕入れる前に必ずこの順で計算します。
販売価格 −(販売手数料+配送代行手数料+保管料の見込み+仕入れ原価+納品送料・資材+広告費の見込み+返品ぶんの目減り)。
この結果がプラスにならない商品には、そもそも手を出しません。
そして計算には、必ずAmazonが公式に出している手数料シミュレーターと最新の料金表を使います。
頭の中の「だいたい10%くらい」で計算しないことが大事です。カテゴリーが違えば率が違いますし、料金は改定されます。
② 在庫を「回す」前提で数を決めている
まとめ買いで単価を下げるのは正しい戦略に見えます。でも、その分だけ在庫期間が延びるなら、保管料と資金拘束で相殺されることがあります。
残している人は、値引き率だけでなく売り切るまでの月数をセットで見ます。
「10%安く仕入れられるが在庫は4ヶ月ぶん」と「定価だが1ヶ月で回る」を比べて、後者を選ぶことも普通にあります。
在庫は少ないほうが強い、という感覚を持っているかどうかが分かれ目です。
③ 「安く仕入れる」より「1商品あたりの売上を上げる」に力を入れている
ここが、一番差がつくところだと思っています。
利益を増やす方法は、大きく分けて2つしかありません。安く仕入れるか、たくさん・高く売るかです。多くの人は前者に時間を使います。
仕入れ先を探し、値引き交渉をし、セールを追いかける。
でも仕入れ値を10%下げるのは年々難しくなっていますし、下げられたとしても、それは1個あたり数十円〜数百円の話です。
一方、後者は伸びしろが大きい。同じ在庫、同じ手数料のまま、売れる数が2倍になれば、固定費の負担率は一気に軽くなります。
ケースAの月額登録料50円は、販売数が200個になれば25円になります。保管期間が短くなれば保管料も減ります。
値下げせずに売れるようになれば、販売手数料以外は増えません。
もうひとつ、単価そのものを見直す手もあります。
同じ商品でも、写真・タイトル・箇条書き・レビューの見え方が変われば、少し高くても買われるようになることがあります。
100円値上げして売れる数が変わらなければ、その100円はほぼそのまま利益です。仕入れ値を100円下げるより、ずっと簡単なことも多い。
そして「売れる数を増やす」の中で最も再現性があるのが、商品ページの改善とAmazon広告です。
これは後半のまとめでもう少し詳しく書きます。
ちなみに、この3つに加えて「数字を毎月同じ形で見ている」という共通点もあります。
売上ではなく、商品ごとの手取り額と、在庫が何ヶ月ぶん残っているか。
この2つを月に一度見るだけで、悪い商品を早く切れるようになります。
見ていない人は、決算の時期になって初めて「思ったより残っていない」と気づきます。
「FBAは儲からない」と感じたときのチェックリスト


ここまでの内容を、手を動かせる形にまとめます。今まさに「利益が残らない」と感じているなら、上から順に確認してみてください。
- 売れ筋の上位3商品について、1点あたりの手取りを紙に書き出したか
- その計算に、広告費・返品ぶん・納品送料・資材費を入れたか
- 販売手数料の率を「カテゴリーの実際の値」で確認したか(勘で置いていないか)
- 3ヶ月以上動いていない在庫が、いま何点あるか把握しているか
- 売価に対して配送代行手数料が20%を超えている商品がないか
- ここ半年で値下げした商品について、値下げ後の手取りを再計算したか
- 広告のACoS(売上に対する広告費の割合)が、手取りの割合を超えていないか(比べるのは「広告費を引く前」の手取り率です)
特に最後の項目は見落としがちです。ここで比べる手取りは、広告費を引く前の金額です。
ケースAでいえば、広告費を除いた費用をすべて引いた残りが815円、売価3,000円に対して約27%。これが広告に使える上限です。
広告費を引く前の手取りが売価の27%の商品に、ACoS 30%で広告をかければ、1個売るごとに85円ずつ減っていきます。
ACoS 25%なら65円残る計算なので、この差はわずか5ポイントです。
広告は「使えば売れる」ものですが、「使えば儲かる」ものではありません。
手取り率という上限を知らずに回すのが、一番危ない使い方です。
FBAと手数料についてよくある質問


Q. 手数料が高いなら、全部自己発送に戻したほうがいいですか?商品によります。
大型・重量・低回転のものは自己発送に戻す価値がありますが、小型で回転が速いものは、FBAをやめると売れ行き自体が落ちて逆効果になることがあります。
全部を一度に切り替えず、まず1〜2商品だけ自己発送に戻して、1ヶ月の売上と利益を比べるのが安全です。
Q. 大口出品をやめて小口にすれば安くなりますか?月額登録料はなくなりますが、代わりに1点ごとの基本成約料がかかる形になります。
販売点数が少ないうちは小口が有利、ある程度売れるようになると大口が有利、という分かれ目があります。
自分の月間販売点数で両方を計算して比べるのが唯一の正解です。
なお小口では使えない機能もあるので、金額だけで判断しないほうがいいです。
Q. 利益率は何%を目指せばいいですか?
絶対的な正解はありませんが、広告費や返品ぶんを引いたあとで、手元に残る割合が二桁を保てるかを一つの目安にしている人が多い印象です。
ここが一桁になると、価格競争や手数料改定の影響を吸収できなくなり、少しの変化で赤字に転びます。
目標を決めたら、それを下回る商品は仕入れない、と決めることのほうが大事です。
Q. 手数料が改定されたら、どう対応すればいいですか?
改定のお知らせが出たら、まず自分の売れ筋上位の商品だけを新しい料率で計算し直してください。全商品を一度にやろうとすると手が止まります。
上位の数商品で手取りがどう変わるかがわかれば、値上げするのか、サイズを見直すのか、扱いをやめるのかの判断ができます。
改定の影響は商品ごとに違うので、まとめて悲観する必要はありません。
Q. 手数料は自分でどうやって調べればいいですか?
セラーセントラルのヘルプにある料金表と、Amazonが公式に提供している手数料シミュレーターを使ってください。
カテゴリー・サイズ・重量を入れると、その商品でいくら引かれるかが出ます。
この記事の数字は架空のモデルなので、そのまま使わないでください。
料金は改定されるため、仕入れの判断をする都度、最新の値で確認するのが確実です。
あわせて読んでおくと、つまずきにくくなります。




まとめ:FBAが儲からないのではなく、1商品あたりの売上が足りていない


ここまで、販売手数料・配送代行手数料・在庫保管手数料・返品まわり・広告費・納品コストと、ひとつずつ分解してきました。
最後に、それらの共通の根っこを一つにまとめます。
この記事で出てきた「利益が残らない理由」は、形は違っても全部同じところに行き着きます。
1商品あたりの売上に対して、固定的にかかる費用が重すぎる——これだけです。
配送代行手数料が重いのも、月額登録料が重いのも、保管料がじわじわ効くのも、根っこは「その商品が、その期間に、十分な数と価格で売れていない」からです。
この根っこに対して、打てる手は2方向あります。仕入れを安くする方向と、売る力を上げる方向です。
私はいま、後者に振っています。
仕入れ先を増やして単価を数十円下げるより、今ある商品ページを直して、Amazon広告で狙った検索ワードから買ってくれる人を連れてくるほうが、同じ労力に対して戻ってくる金額が大きいと考えているからです。
在庫を増やさずに済むので、資金も寝ません。
売る力を上げる方向に舵を切ると、この記事で挙げた悩みは次のように動きます。
- 販売数が増えるので、月額登録料などの固定費が1点あたりに薄まる
- 在庫の回転が速くなり、在庫保管手数料と長期在庫のリスクが下がる
- 値下げしなくても売れるようになれば、利益を削らずに済む
- 資金が在庫に寝ないので、次の仕入れやテストに回せる
- 「どの検索ワードから売れているか」がわかるので、次に仕入れる商品の精度が上がる
もちろん、正直なデメリットもあります。広告にはお金がかかりますし、最初の1〜2ヶ月は赤字になることも珍しくありません。
データが溜まるまでは、無駄なクリックにも払うことになります。
だから「手取り率という上限を先に計算してから回す」という順番が絶対に必要です。
ここを飛ばすと、手数料に加えて広告費でも削られる、最も悪い形になります。
逆に言えば、手取りの計算さえ先にできていれば、広告は「使ってはいけないもの」ではなく「上限内で使える武器」に変わります。
この記事で電卓を叩いたのは、そのためでもあります。
- FBAの手数料が高すぎるのではなく、単価に対して固定費が重い商品を選んでいると残らない
- 小型・軽量・中〜高単価・回転が速い、がFBAで有利な条件
- 仕入れる前に1点あたりの手取りを出す。これだけで大半の失敗は避けられる
- 次の一手は「安く仕入れる」より「1商品あたりの売上を上げる」ほうが伸びしろが大きい
「うちの商品は、そもそもFBAで戦える構造なのか」「広告をかけていい上限はいくらなのか」。
この2つは、数字さえ出せば30分で判断がつきます。
ご自身の商品で計算してみて詰まったら、無料相談で一緒に電卓を叩きますので、気軽に声をかけてください。
まず1商品ぶん、手取りを出すところからで大丈夫です。
在宅のまま完結させる型もあります。


いまから始めるのは遅いのか、という話はこちらです。






