「Amazon広告を分析する」という言葉ほど、あいまいなものはありません。
数字は見た。表も出した。グラフも眺めた。それで、明日から何を変えるのか。ここが決まらないなら、それは分析ではなく鑑賞です。
広告がうまくいかないとき、原因は必ずどこか1か所にあります。分析とは、その1か所を特定する作業です。全体を眺めることではありません。
この記事では、原因を1か所に絞り込むための順番を書きます。順番さえ守れば、誰がやっても同じ答えにたどり着きます。
- 広告を4つの段に分けて見る考え方
- 上から順に見ないと必ず間違える理由
- 段ごとに「見る数字」と「直す場所」の対応表
- 実際の数字で絞り込む例(2パターン)
- やってはいけない分析3つ
- 月に1回、30分で終わらせる手順
広告は「4つの段」でできています

お客さんがAmazonの広告を見てから買うまでには、4つの段があります。
| 段 | 何が起きるか | 数字でいうと |
|---|---|---|
| 1段目 | 広告が画面に出る | 表示回数(インプレッション) |
| 2段目 | お客さんが押す | クリック数 |
| 3段目 | 商品ページを見る | (数字には出にくい) |
| 4段目 | 買う | 注文数・売上 |
売れていないとき、この4つのうちどこかで止まっています。
ここが大事なのですが、止まっている段によって、直す場所がまったく違います。
1段目で止まっているのに商品ページを直しても、何も起きません。広告が表示すらされていないなら、ページを何回書き直しても誰も見ないからです。
逆に、4段目で止まっているのに入札額を上げると、傷が広がります。表示が増えて、買わない人が増えるだけです。
分析とは、「4つの段のどこで止まっているか」を1か所に決めること。
それ以上でも以下でもありません。
必ず上から順に見る

ここが最大のポイントです。
多くの方は、いきなり4段目から見ます。「売れていない」から始めるので当然です。
でもそれをやると、1段目で止まっているケースを見落とします。
たとえば、表示回数が1日に20回しかない広告があったとします。クリックは1回。注文は0。
4段目から見ると「売れていない、ページが悪い」となります。でも本当の問題は、そもそも20回しか出ていないことです。20回のうち1回押されているなら、押される率としてはむしろ普通です。
この状態でページをいくら直しても、何も変わりません。母数がなさすぎて、直した効果すら測れないからです。
だから、必ず1段目から順に見ます。
- 表示は足りているか → 足りていなければここで止めて、ここだけ直す
- 足りているなら、押されているか → 押されていなければここで止めて、ここだけ直す
- 押されているなら、買われているか → 買われていなければここを直す
止まっている段が見つかったら、そこで下を見るのをやめてください。同時に2か所を直さない。これが鉄則です。
2か所を同時に直すと、どちらが効いたのか分からなくなります。次に同じことが起きたとき、また一から悩むことになります。
段ごとの「見る数字」と「直す場所」

各段で何を見て、どこを直すのかを1枚にまとめます。
| 段 | 見る数字 | 止まっているサイン | 直す場所 |
|---|---|---|---|
| 1段目 出ているか | 表示回数 | 1日100回に届かない | 入札額/キーワードの数/在庫と価格 |
| 2段目 押されるか | クリック数 ÷表示回数 | 表示は多いのに押されない | 1枚目の画像/価格/レビュー |
| 3段目 ページ | — | 押されるが買われない | 画像の2枚目以降/説明文 |
| 4段目 買うか | 注文数 ÷クリック数 | ページも見られて買われない | 価格/在庫状態/配送の速さ |
3段目と4段目は数字で切り分けにくいので、実際にはまとめて扱います。「押されているのに買われていない」なら、商品ページ全体が原因と考えます。
実際の数字で絞り込んでみる

言葉だけだと分かりにくいので、2つの例で見てみます。数字は説明のために作ったものです。
例1:広告費だけが減っていく
| 数字 | 30日の結果 |
|---|---|
| 表示回数 | 42,000回 |
| クリック数 | 310回 |
| 広告費 | 18,600円 |
| 注文数 | 2件 |
上から見ます。
- 1段目:42,000回。十分出ている → 問題なし
- 2段目:310回押されている。42,000回出て310回なので、押される割合としては特別悪くない → 問題なし
- 3・4段目:310回も商品ページに来ているのに2件 → ここが原因
310人がページまで来て、308人が買わずに帰っています。
この場合、入札額を下げても意味がありません。広告費は減りますが、売れない構造は残ったままです。
やるべきは商品ページを直すこと。それが終わるまで、この商品の広告はいったん止めてもいいくらいです。
例2:まったく反応がない
| 数字 | 30日の結果 |
|---|---|
| 表示回数 | 640回 |
| クリック数 | 9回 |
| 広告費 | 520円 |
| 注文数 | 0件 |
これも上から見ます。
- 1段目:30日で640回。1日あたり21回 → ここが原因
ここで止めます。2段目以降は見ません。
1日21回しか出ていないなら、9クリック0件は当たり前の結果です。この数字からは何も分かりません。
やるべきは、まず表示を増やすこと。入札額を上げる、キーワードを増やす、在庫と価格の条件を確認する。判断できるだけの数字が溜まる状態を作るのが先です。
ここで「広告費が520円しか使えていない、もったいない」と考えるのは正しい感覚です。使えていないのは、出ていないからです。
やってはいけない分析3つ

1. 短い期間で判断する
1週間の数字で判断すると、ほぼ確実に間違えます。
物によっては、売れる日と売れない日の差が何倍もあります。給料日の前後、週末、月初。たまたま悪い1週間を切り取って「この商品はダメだ」と決めてしまう。
最低30日。これは守ってください。
2. 全体の平均だけを見る
「うちの広告はACOSが45%です」という見方をしても、次にやることが決まりません。
平均が45%のとき、中身は2つに分かれています。15%で回っている商品と、120%で溶けている商品が混ざって45%になっている。
平均を下げようとして全体の入札額を下げると、15%で回っていた優秀な広告まで止まります。よくある失敗です。
分析は必ず、商品ごと・キーワードごとにばらして見る。平均は、それが終わったあとの答え合わせに使うものです。
3. 数字を見てから基準を決める
これが一番多い間違いです。
レポートを開いてから「ACOSが50%を超えたら止めよう」と考える。すると、目の前の数字に合わせて基準が動きます。
止めたくないキーワードが55%だったら、「まあ60%までは様子を見よう」となる。人間なので、そうなります。
基準は、レポートを開く前に紙に書いておく。そして、その日は書いた基準どおりに機械的に処理する。
その基準の作り方は、粗利から計算します。感覚ではなく計算で出せます。

月に1回、30分でやる手順

実際の作業に落とすと、こうなります。
| 順番 | やること | 時間 |
|---|---|---|
| 1 | 先に基準を紙に書く(止める線・伸ばす線) | 5分 |
| 2 | 直近30日の数字を商品ごとに並べる | 5分 |
| 3 | 商品ごとに1段目から順に見て、止まっている段を1つ決める | 10分 |
| 4 | 段ごとの対応表を見て、直す場所を1つだけ決める | 5分 |
| 5 | 決めたことを実行する | 5分 |
ポイントは3番です。商品ごとに、止まっている段を1つに決める。
「表示も少ないしページも弱い」と思ったら、上の段を選びます。上が直らないと、下を直しても効果が測れないからです。
そして次の月、同じ手順をやります。前回直した場所が効いたかどうかが、そこで分かります。
2番の「数字を並べる」で、どのレポートを開いてどの列を見るかはこちらにまとめています。

直したことを、1行だけ記録する

分析して、直す場所を決めて、実行した。ここで終わりにしないでください。
やったことを1行だけ書き残します。
| 日付 | 直した場所 | 次に見る日 |
|---|---|---|
| 7月2日 | A商品の1枚目の画像を差し替え | 8月2日 |
| 7月2日 | B商品の入札額を60円→45円 | 8月2日 |
3列で十分です。ノートでも、スマホのメモでもかまいません。
なぜこれが要るのか。1か月後、自分が何をしたか本当に覚えていないからです。
覚えていないと、数字が良くなっても悪くなっても、原因が分かりません。せっかく試したのに、学びがゼロになります。
そして半年分たまると、別のものが見えてきます。自分の商品の癖です。
「画像を変えたときはよく動く」「入札を下げても売上はあまり落ちない」。こういうことは、記録がないと一生気づけません。人の話ではなく、自分の商品の話だからです。
分析が続かない本当の理由

分析が続かないのは、面倒だからではありません。
やっても結果が変わらないからです。
そして結果が変わらないのは、たいてい直す場所を間違えているからです。表示が足りていないのにページを直す。ページが弱いのに入札額を上げる。
順番どおりに見れば、直す場所は自動的に決まります。決まった場所を直せば、結果は動きます。動けば、続きます。
逆に言えば、順番を守るだけで分析は続くようになります。
- 分析とは「どこで止まっているか」を1か所に決める作業
- 広告は表示→クリック→ページ→購入の4段でできている
- 必ず1段目から順に見る。下から見ると原因を取り違える
- 止まっている段が見つかったら、そこで止めて下は見ない
- 同時に2か所を直さない。どちらが効いたか分からなくなる
- 期間は最低30日。1週間では偶然と区別がつかない
- 平均で見ない。優秀な広告と溶けている広告が混ざっている
- 基準はレポートを開く前に決める。あとからだと必ず甘くなる
Amazon広告の数字は、慣れると読めるようになります。
ただ、慣れる前にやめてしまう方がとても多い。数字を見ても次の行動が決まらないので、見る意味を感じなくなるからです。
順番を決めておけば、慣れる前から行動が決まります。まずは今月の分から、1段目から順に見てみてください。


